「スポーツジャーナリストにはどうやってなる?」現役サッカー選手・岩政大樹が逆取材
元サッカー日本代表・岩政がジャーナリストに逆取材-1
元サッカー日本代表・岩政大樹(現・東京ユナイテッドFC)初の著作は、サッカーを「ピッチレベル」で分かりやすく解説し、多くの現役選手、ジャーナリストから「最高に面白い一冊」と絶賛されている。部数も発売二週間で3刷、2万部を超えた。
現役でプレーし、ふだんは「書かれる側」の選手である岩政大樹氏は「書く側」の視点をどう考えているのか。本企画では、ふだんは「書く側」「聞く側」であるスポーツジャーナリストに岩政氏が逆取材を敢行。「聞かれる側」はスペインサッカーに造詣が深く『サッカーで日本一、勉強で東大現役合格~國學院久我山サッカー部の挑戦』(洋泉社)などの著作がある小澤一郎氏。話はスペインと日本サッカーの文化的差異、ジャーナリズムに及んだ。
スポーツジャーナリストになったきっかけは偶然
岩政 今日はよろしくお願いします。
小澤 よろしくお願いします。逆の立場ってなんか怖いですね(笑)。
岩政 ははは。僕はブログが書き始めで、この本のもとになる連載「現役目線」に取り組みました。だからみなさんの書くきっかけが気になります。小澤さんのきっかけはなんだったのでしょうか。
小澤 偶然なんです。僕は、大学を卒業して社会人を2年やった後、サッカーの指導者を目指してスペインのバレンシアに移住したんですね。でも、行ってみて「指導者ってこんなに食べていけないんだ」ということが分かりました。スペインの育成年代の指導者たちは本業を持っていて、副業で夕方、ボランティア的にやっている。加えてその指導者たちも本当にレベルが高いわけです。これでは生計を立てていくのは難しいだろうな、と。そんなことを考えているあたり……2004年くらいですかね、ブログが流行り出したのでコツコツと書いていたんですよ。
岩政 へえー。何を書いていたんですか?
小澤 毎日、バレンシアのトップチームについて書き続けました。バレンシアは当時、ラ・リーガの中でもデポルティボ・ラ・コルーニャと並んで強いチームだったんです。二強はレアルとバルセロナでしたけど、この二つのチームについて書く日本人はたくさんいて、しかもビッグクラブですから練習もほとんどクローズだったんですね。それで、バレンシアくらい強いチームを日々の練習から1シーズン見続けたいと思って書いていたブログが、日本のメディアの方の目に留まったらしく、雑誌社から執筆依頼が来たのが最初でした。
岩政 そうなんですね。そのとき、書くことについての土壌はあったんですか。
小澤 いや全くないです。学生のとき、国語が苦手な方だったくらいで。読書習慣すらない人間だったので、スタートラインはまったくの手探り状態でした。
【日本人らしいサッカーとは何か。W杯を制覇するにはどうするべきか?】
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小澤一郎。
1977年9月1日生まれ、京都府出身。早稲田大学卒業後、社会人経験を経て2004年にスペイン移住。
バレンシアCFの詳細なリポートを扱ったブログが話題を呼び、サッカージャーナリストとしての活動を開始し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、「育成」を主軸にしながらも指導者目線の戦術論やインタビューを得意とする。著書に、「スペインサッカーの神髄」(サッカー小僧新書)、「ネイマール 若き英雄」(実業之日本社)、「アギーレ 言葉の魔術師」(ぱる出版/『サッカー本大賞2015』 優秀作品)など。